perverse
その不安をかき消すためにテーブルの上にある結婚情報誌をパラパラめくる
あと何ケ月かしたら、私はウエディングドレス着る
頭の中で幸せそうな自分をイメージ
今度こそ絶対に幸せになる
自分の中で不安な気持ちが勝ってしまったのか涙が溢れてくる
また結婚を決めた人を取られるという不安。
言葉にできないくらい辛い
二度も同じ過ちが犯されるなら取った方も悪いけど取られる私にも何か落ち度があるはず
運が悪いだけでは片付けられない
悲劇のヒロインを装っている自分にも思える
消えているテレビ画面に映る私の姿はあまりにも貧相で滑稽に見える
今日はどんなに宙さんの帰宅が遅くなっても、話をしなければ
いつまでも私の気が乗らないだけで先送りしても、意味がなく時間を無駄にしているだけ

取りあえず待つ
食欲もなく一人なので夕食を作るのも億劫なので何も食べない
手持ち無沙汰な私はパタパタ動いて掃除をしたけど、あまり汚れていないせいかあっという間に終わった
シャワーを浴びテレビをつけるけど、見たい番組もなく手持ち無沙汰に結婚情報誌を眺めるだけ
昨日の夜は翔に会いモヤモヤ感が増殖したためほとんど眠れなかった
待っている間、寝不足もたたってウトウトと机に顔を埋め眠ってしまう

11時過ぎ
宙さんが帰ってくる
足音で目覚める
「お帰りなさい」
いつも帰って来る時はご機嫌なのに今日は酔っているせい?それとも当直明けで疲れている?のかわからないけど、いつもと違い口数が少ない

汗をかいているのか、浴室に向かおうとしている宙さんに
「話をしたいのです」
疲れているのかムッと表情が変わる
『急ぐ話?』
「いえ」
『疲れているんだ、明日でいい?』
いつもより酔っているので理解はできるけど
5分だけでも時間をとってくれたら良いのにと思ってしまうのは私の我儘なのだろうか
「わかりました」
聞き分けの良い返事をすると宙さんは部屋を出て行った
腑に落ちない気持ちがあるけど時間も遅いし明日も仕事がある
『今日はサッサと寝て、明日話そう』
そう思いながらベッドに入る
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