perverse
25 難航
翔から手渡された書類を見た真寛さん
その書類は翔の部分が記載された離婚届
真寛さんの顔が興奮して真っ赤
書類を持っている手がワナワナ震えている
「これ…」
突然の事で動揺している
この動揺は離婚したくないからだよね?
離婚したくないのは、翔に愛情があるから?
それとも経済的な不安…?
元カノの私としては、愛情であって欲しいと願う
愛情があって翔を略奪されたのだったら、あの時の私は理解できなくても、今の私だったら理解してあげられる
真寛さんは興奮しながら「こんな物いらない!」って、ビリビリと離婚届を破ってしまう

不意に翔の方を見ると、想定内って顔をしている
「何枚破っても予備があるから大丈夫だよ。それより真実は教えてはくれないの?」
「真実なんてないわよー。望愛は翔の子供。元カノと浮気しているのは翔。私は全然悪くない」
一方的な言いがかり?とも思える事を大きな声で叫び、真寛さんは泣き出した
「望愛の父親は誰なんだ?」
「知らないわよ。出会い系で知り合った人だから1回きりの人だし」
「真実を聞いて私は絶句……
だって、私から翔を奪って、浮気するなんて
酷い
愛情がいのに私から奪った…
こんな人に負けた
悔しくて目から涙が浮かんできた

「じゃあ俺の子じゃないんだな」
翔が怒鳴るように言うとコクンと頭を下げションボリする真寛さん
翔はもう一枚、離婚届を出して
「記入しろ」
と言うけど、真寛さんは拒否
しかも不気味な笑みを漏らす
「翔、知ってる?生物学的にはあなたは望愛の父親はじゃないかもしれないけど、法的には貴方は立派な父親。例え離婚しても養育費は払わないといけないのよ」
その言葉を聞いて、固まる翔
「そして、相手がわからないから相手に慰謝料や認知も求められない。離婚しても、翔にあまりメリットがないと思うけど」
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