perverse

「はあっ？アンタ何言ってるの？」
「俺は絶対、兄ちゃんから美波取り戻すから」
宣言？
冗談？
翔はそう言い洗面所に向かう
昨晩、宙さんと翔は何を話したんだろう？
今日の打ち合わせの件もあるけど、私の話をしたのは明からかなのはわかる
二人の私に対する態度が私に固執しているから
でも真寛さんと結婚している今、翔が私に何を言っても真実味もなく、ただただ迷惑なだけ
4年前にあんな捨て方をしたんだから、今は私が幸せになる事を願っていて欲しいのに
翔にはそんな大人な態度はできないのか？
どう見ても子供の行動
玩具の取り合いをしている兄弟喧嘩にしか見えない
私は取りあえず着替えて身支度を始める
洗面所に行くとまだ翔がいる
長くないですか？
とは思ったけどこの狭い空間の二人でいてはいけない
危険を感じるので速攻でその場を去ろうとすると
ガシって腕を掴まれた
「ヤメテ」
小さい声で抵抗するけど、翔は離さない
私は玩具じゃない
そんな感情が湧き出す
翔は無理やり私の身体を抱きしめ
「美波好き」
4年前と同じ声で耳元で囁く
でも私の心も身体も全く翔に反応する事はない
ここにいるのは元カノの私ではなく義姉の私なのだろう
「私は好きじゃない」
「俺は今でも好き」
「何度も言っているけど私を捨てたのは貴方。今さら言ってももう無理。精神的に受け付ける事はない」
「何で？付き合っていた時はラブラブだったし結婚する約束だって」
「裏切ったのは貴方」
翔の腕を振り払い宙さんが寝ている寝室に逃げ込む
ドアの開閉する音で目を覚ました宙さん
起こしてしまって申し訳なく思ってしまう
「ごめんなさい」
宙さんが横になっているベッドに入り彼に抱きつく