perverse

『怪我をしている美波にこんな話をしたらいけないのはわかっている。でも俺はアイツを許せないんだ。こんな大怪我を負わして逃げた事を。もし今日中にアイツが美波に対して謝罪に来なければ警察に行き被害届けを出す』
｢真寛さんは義妹で身内ですよ？いいんですか？｣
そんな事を一握りも思っていないのに、私は社交辞令で言ってみると
『身内だからって俺の婚約者に暴力を振るっていいなんてありえない』
｢宙さんの気持ちは有り難いし同じ考えです。私から一つお願いがあるのですが聞いてくれますか？｣
『お願い？』
｢もし可能であれば、今回の傷害事件を翔の離婚の切り札に使えませんか？例えば裁判になった時とか？｣
『現状ではアイツの親の事もあるし裁判に持ち込めるかどうかはわからない。ただ切り札になる可能性はあるかもしれない。翔に同情をしているのなら止めた方がいい。また今日みたいにアイツに恨まれたり､攻撃を受ける可能性が高い』
｢私達は結婚する。ハッキリ言ってあんな人と身内になんかなりたくない。こんな事で逆上するなんて普通有り得ない。もしこの状態で結婚したらまたやられると思うしいくら身があってももたないと思う」
本当は言いたくなかったけど暴力を振るわれて、まして怪我まで負わされている訳で、普通なら破談になってもおかしくない話だ
たぶんこの現状を知ったら私の親はそうするだろう
一度ならまだ許されたかもしれないけど二度目は許さない
私の人生に真寛さんはこれっぽっちもいらない
それどころか、もうこれ以上、関わって欲しくない
私は絶対、彼女とは身内にならない
そう誓った