perverse
私の思いとは裏腹に、半ば強引に私は宙さんと並び駅とは反対方向に歩いている

どこに向かっているのだろう?

もしかして・・・あそこ?

翔との思い出の場所に行くのかもしれない

この駅の反対側歩くと河川敷がある

2週間後に花火大会

4年前までは翔と行っていた。

毎年浴衣を着て慣れないゲタでヨタヨタ歩いている私をいつも翔は肩を抱き、愛おしそうに包んでくれた

ーーーんて過去を思い出してしまった

ダメダメ・・・今、さっき過去と決別する、翔を忘れる・・・って思っていたのに・・・・

また眼から涙が溢れだしてくる

ついでに鼻水も

2回目の涙はタチが悪い

私の鎧はあっというまに崩れ去った

入念に化粧直ししたアイメイクはメチャクチャになっているのが鏡を見なくてもわかる

私は俯き、カバンからハンカチを取り出す

横目でその様子を窺う宙さん

宙さんは左手で優しく私の肩を抱いた

過去の翔と同じように、嘘でも愛おしさを感じたいと思う

今の私は誰かにすがりたいぐらい弱っている






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