perverse
「・・・・・・」

沈黙が続く

まだ宙さんの左手は私の肩に抱いたまま

その手が少し心地よく感じてるが、とりあえずこの【散歩】を切り上げて宙さんと別れなければならない

どうしよう・・・・

酔った頭で良いお別れの仕方を試行錯誤に考えていると

「美波ちゃんさ・・・・」

突然、宙さんが口を開く

「別れてもあんな翔のことを今まで 思い続けてくれてありがとう」

優しい言葉

この一言で、私のこの4年間が報われたような気がした

そう思うと、また涙が止まらない

「美波ちゃん、翔のこと恨んでいる? あんな別れ方して」

あんな別れ方?

私と翔が分かれた理由は友達との関係を優先ばかりする翔に私が怒って選択を迫ったこと

翔の選んだ答えは私ではなく友達だったはずなのに

違和感を感じる

宙さんの言っていることと、私の思っていることが相違を感じる

たぶん私の表情は強張っている

そして体が震えているのがわかる

恐らく宙さんの左手にも伝わっているだろう

そんな私を感じたのか宙さんは私の知らない真実を語りだした

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