perverse
土曜日、朝10時10分前

スマホに宙さんからメッセージが届く

【もうすぐ美波ちゃんのマンション前に到着する】

あー、急がなきゃ

慌てて鍵を閉め、エントランスに向かう

待つこと1分

黒の高そうなセダンが到着

運転席には紺色のポロシャツを着た宙さん

「待たしてゴメン・・・・」

と笑顔で微笑み、私に助手席に乗るように促す。

車のドアを開けると革張りのシート

『高そうー』お医者様ってやっぱりお金持ちなんだ・・・なんて思っていると

「外車じゃなくてガッカリした?」

言っている意味がわからないんですけど・・・

不思議そうな私の表情を確認し車を発進させる

「医者って高給取りと思われているみたいだけど、 勤務医なんてサラリーマンとたいし
て変わらないのにね・・・」

話を続ける宙さん

「この車見てお金持ちって思いました」

って私が言うと

「翔の車と比べたら、倍以上違うしね」

と悪戯に微笑む

私が動揺するのを待っているのか、チラッと私の方を横目で見る

視線が合う

私は笑顔で

「そうですねぇ・・・・」

と言い返した

ーーー思ったよりダメージがない

膿は完全に出し切ったのか?

心の中の大きな荷物が一つ無くなっている自分を確認した

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