breath
樹さんと藤崎さんが言い合いをしている

そのやり取りをドア越しで聞いている私は、何も知らなかったんだ

樹さんに解決したと聞いていたので、終わった

そして両家の両親に祝福されて結婚するのだから、藤崎さんが私達の間に割り込むことはないと思っていた

でも、もし彼女が言うように妊娠していたら?

ーーー私には勝ち目がない……

5ケ月に入ったって言っていたから、中絶はできないだろう

とうことは、私は樹さんに捨てられる……?

ほんの15分までの私達は幸せの絶頂だったのに、今は地獄

私の目からは涙が溢れ、身体全体の力が抜けてしまい、立ってられない

私はヘナヘナとしゃがみこんでしまう

私が持たれている扉の向こうからの声が耳に入ってくる

「藤崎くん、君は私の元部下だから、私の事はよく知っていると思う。ならば、君はそう言う切るなら証拠を持って来ないのだ?」

「持ってきています。母子手帳と、エコーを!」
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