breath
車の中では無言の私と専務

私はずっと窓の外を眺めている

どこに行くんだろう?

ーーーなんて思うけど、口に出す事は出来ない

鼻声だし、やっと涙が止んだのに、また声を出したらぶり返すかもしれない


車が動き出して30分が経った頃、到着したのは夜景が素敵なデートスポット

ちなみに回りの車を見るとカップルがいちゃついている

フロントガラスの向こうは、幾千の光が散りばめられていてキラキラしている

私はここに来るのは初めてで、その景色に魅了されてしまった

「ーーー綺麗……」

思わず声が出てしまい、チラッと専務の方を見ると目が合う

専務はクスッとわらい

「やっと泣き止んだ」

小さな声で呟いた

「専務、本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません」

詫びを入れ謝る

「本当に申し訳ないと思っているんだな?」

キツめの口調で専務は言うので

「思っています」

焦りながら返答する

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