breath
正面には田村先生が座っている

看護師さんは「じゃあ」と持ち場に戻ってしまった

私の顔をじっーと観察する田村先生は、ニヤッてさっきの診察の時とは違う悪戯な笑みを漏らし

「匠と付き合わないの?」

って私に聞く

さっき診察の時、婚約者の話をしましたよねー……って思うけど、冗談だと思うから流しておく

「お似合いなのに……」

「お前、くだらない事を言うな。戸惑っているじゃないか」

私の方を向きゴメンて言う専務

「明日美ちゃん、気が変わったら可哀想な匠と付き合ってあげてねー。コイツ寂しがり屋だからさー」

とケラケラ笑いながら先生は席を後にした

「じゃあ、俺達も帰ろうか……」

専務の手には私の薬

「専務……もしかしたら会計をやって下さったのでは?おいくらでしたか?」

こんな事に専務を使ってしまって申し訳ないと思いながら、財布を出そうとしたら

「いらない。元気になったら仕事で返してもらうから。覚悟しておいて……」

優しく私に微笑みながら専務は私に言葉をかけた
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