breath
落ち着かない私。こんな状態で落ち着く人の方がおかしいかもしれない
数日前に初めて口をきいた他人とこれから一緒に住むのだから。1週間前の私には考えられないことだ
目の前にいる、高宮主任は優しく私に微笑み
「何か飲む?」
気を使って聞いてくれるので私は首を横に振る。彼はバスルームの方に向かって行ってしまった
私はキョロキョロ部屋を見渡す。物は少なく必要なものしか置いていないっていうか無駄なものがほとんどない
食卓は2人掛けの小さなテーブル、二人掛けのフソファーとテレビと本棚があるだけ。本棚には本がギッシリ詰まっている
『この人は、どんな本を読むのだろう?』と思いながら本棚を見ていると主任が戻ってくる
「中学生の時よく図書館で本を借りていたよね。今でも本好き?」
中学の時の私を知っているんだ。少し嬉しい気持ちになる
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