breath
「樹にさ……冗談で明日美を俺に頂戴って言ったら拒否していたよ」

私を見ながらニヤって悪戯げな笑みを浮かべる社長

ーーー私を試している……

「すいません、意味がよくわからなくて……」

返事に困っている私を楽しんでいる?……とも思える

「まあ、時間はたっぷりあるし、よく考えたらいい」

そう言い、社長はポンポンと軽く私の頭を叩く

「ありがとうございます……」

私はぺこりと頭を下げる

「それより明日美は夕食を食べた?」

私は首を横に振る

「おなかすいた……。今から外に食べに行く?」

私の顔は泣いてぐちゃぐちゃになっているし、今日は外に出る元気はない

「うどんとか簡単な物ならすぐできますよ」

と私が言うと、お願いポーズのように両手を合わす社長

そういうお茶目なところがあるので憎めない

私は立ち上がりキッチンに向かう

社長は出来上がるまで一度部屋に戻ってシャワーを浴びてくると玄関のドアに手をかけた

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