breath
結婚もしていないのに、普通つけませんよとは思っていると、樹さんはチラッと私を見て、いつもの爽やかな笑みを漏らす

普通だったら人事部長が連れて帰るのに、なぜかこの二人を置いて人事部長だけが退席した

二人とも縁故だからか？

1人は本社の社長の息子

もう1人は取引銀行の頭取の孫

名前だけでも特別待遇しなければ……って思ってしまう

社長は二人をソファーに座らせると、突然前田さんが口を開く

「匠くん、樹と一緒に住んでるって聞いたんだけど、私も一緒に住んでイイ？」

ノリが軽い

ここは職場なんだけど、タメ口はダメですよーって心の中で叫ぶ私

社長は呆れた顔をして

「前田さん、ここは職場で私達は過去は身内だったかもしれないが今は他人だ。言葉遣いは気にしてもらわないといけない。そして社宅は総務の決めた所で住むように。私と一緒に住む事はありえない」

バッサリ切り捨てる社長
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