breath
これ以上、痴話喧嘩なんか聞きたくない

まして樹さんのなんか

「前田、行くぞ」

と立ち上がった樹さん。前田さんもそれにつられて前田さんも立ち上がりドアに向かう

樹さんは私の側に来て

「今日は定時に終わるから、一緒に帰ろう。駐車場で待っていて」

と言い去って行く

パタンとドアが閉まり、ホッとする私

「前田香奈か……」

今まで見た事のない押しの強いバイタリティー……というか、ただの我儘

エリート候補の多い経営戦略室でやって行けるのか?疑問に思う

私には関係ないけど、彼女の言ったお父様の言葉でモヤモヤしている

「なるようにしか、ならないか……」

小さな声で呟き、自分に言い聞かせる

どれだけ彼に期待しても結果は一つしかない

ーーーたぶん、私が彼の側にいれる可能性は限りなく低い

わかっていたし、覚悟もしていたけど、現実にわかるとさすがに辛いな……

そんな事を考えながら、仕事を始めた
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