breath
「明日美が他の人に触られるのは見ていられない。ここにずっといるから」
誰にも聞かれないよう小さな声で、耳元に囁く
本当は嬉しかった。心の中で『ありがとう』と言った
それからは、樹さんは私達の間に誰も入れない雰囲気を醸し出している
事務の女性達が追っかけて来ても無視しているし、男性社員が酌に回れと言われても適当にかわして行こうとしない

「いつきー」
酔っ払っている前田さんまで来た。彼女は私と樹さんの間に入り込み、樹の腕を組みベタベタしだした
私は、やっと樹さんと離れる事ができたので、飲み物のお代わりを聞きに立ち上がった
オーダーを聞き注文をする
私の席は前田さんに占領されたので、仕方なくお手洗いに行くふりをして部屋の外に出る

「あー面倒くさい」
部屋から離れた場所で、両手を伸びしながら言う
さあトイレに向かおうとした時、クスクスって笑い声が聞こえた
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