breath
過去と決別?

もう奥さんと別れていたから、それで終わっているんじゃないの?奥さんは再婚しているわけだし。その時は樹さんが何を考えて、思っているのか、私には何一つわからなかった

樹さんは、私の手を引いて寝室に向かう。樹さんが私を求めるのをわかっているのになぜ、私は拒まない?流れに任せてばかりなの?心の片隅で、そんな事を思っているのも確かだ

樹さんはその時、どんな気持ちで私を抱いているになんて思う余裕なんて全くなかった

樹さんは私を抱く回数を重ねるほど、激しくなっている。そして、私にいろんな跡を残していく。それが表面上なものであったり、内面的なあったり

彼は私の全てを征服したいかのように抱く

たぶん彼が私に与えてくれる快楽は麻薬のようなもので心が戸惑いを感じていても、身体や脳が快楽を覚えていて欲してしまう。樹さんはそんな私がわかっているかのように、身体に彼の跡を刻み込む

その日は一晩、樹さんに抱かれ続け次の日の土曜日はずっと私の部屋の中で引きこもり状態
寝室で二人とも裸のままで抱き合っては寝て…を繰り返している

それを望んでいるのは樹さん

離れていた2年間の時間を埋めるために、必死になっているのがよくわかる。何度目かで私が先に果てた時彼は私の耳元で「結婚しよう」と囁く

私はどう返事をしていいか困っていたら「ダメ?」甘えるように、でもどこか淋しそうに聞く樹さん

そんな彼を見ていると、2年前の私に戻ったような気分になりコクンと首を縦に振ってしまった
たぶん何度も抱かれていて、気持ちの感覚が鈍っている。樹さんの腕の中にいると2年前の事とか、病気になったとか嫌な事を忘れてしまう時がある

あれが幻だったとは思えないが、記憶が薄れてきているのは事実だ

「ありがとう」また樹さんは私の耳元で甘い声で囁いた
< 444 / 657 >

この作品をシェア

pagetop