breath
「わかったわ」
そう言い、鈴香さんは俯いて涙を流す
過去には愛し合っていた二人
話の進め方を聞いて、お互い信頼関係があったのは何となくわかる
「行く先がないんだろう?さっき君の実家に電話をして事情は話した。お義母さんが戻って来いって言ってたよ」
「えっ……」
の話を聞いて鈴香さんは俯いていた顔を上げ目を見開いた
「どうせ後先考えずに動いたんだろう?君の事を受け入れるように頼んでおいた。ちょうど君の実家には貸しがあったから俺の頼みは聞いてくれるはずだ。俺ができるのはここまでだ」
そう言い社長は部屋を出た。会議があるようで樹さんはその後について出て行く
部屋に残ったのは前田姉妹と私だけ
「お姉様カッコ悪い事は止めてよ。きっと匠くんは呆れてるわ」
鈴香さんは返事をしないでハンカチを眼に当て泣いている

私はどうしたら良い?
皆さん早くここから去って欲しいのですが
「一つ聞きたい事があるの」
「何か?」
「匠の好きな人って誰か知っていますか?」
「申し訳ございません。私は社長のプライベートの事は全く知らないんです」
「そう」
少し、寂しそうに見えたのは気のせいだろうか?
しばらくして2人は部屋を出て行く
あー疲れる
2時間以上はいたから今日の予定が狂ってしまった
取りあえず、仕事を再開

就業時間が終わる頃、社長が戻ってきた
「お疲れ様でした」
私が声をかけると「ああ」と簡単な相槌をする社長
疲れているように見える
「鈴香は何か言っていたか?」
「社長の好きな人は誰か教えてくれって言われました。私は知らなくて返答に困りました」
私がそう言うと、社長はキョトンとした表情をしている
「本当に知らないのか?」
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