breath
「明日美は樹の事を肯定も否定もしないんだな」
「実は、よくわからなくて」
実際、突然現れた樹さんに戸惑っていて、気持ちが追いついていない自分がいる。でも彼が私の事を思っていてくれて傍らでいてくれるのは嬉しく思っている
今、優柔不断なのかは私の方だ
「今日は一緒に帰ろう」
「社長、仕事は?」
「鈴香が来て疲れた。1日ぐらい早く帰ったて大丈夫だよ」
笑いながら言う社長
いつもと違う
鈴香さんが突然現れたから、社長もいろいろ思う事があるのかな?
漠然と思ってしまう私
それから暫くして二人で駐車場に行くと、見覚えのある二人の姿
樹さんと前田さん
二人で帰るんだ
あれっ?
前田さん、樹さんの車の助手席に乗っている
確か助手席は私の指定席みたいな事を約束したよね
約束破るんだ
心がズキっと痛む
たぶん、樹さんに嘘をつかれるのは私の中で抵抗があるんだ。二年前の事があるから許せない
私が社長の車に乗り込む時、目があったけど、今は仕事中なので会釈だけ
「明日美、どうした?」
「いえ、何も…」
「あるだろう?樹か?」
「わかりますか?」
「わかるよ、明日美の事だから……」
「樹が香奈と一緒にいたから?」
それもある。今は部署が違うから、あそこにいるということは、たぶん約束していたに違いない。それは仕方ない。同僚だし……
アメリカでも一緒に働いていたし
そこは許す
でも許せないのは助手席の事
別に、隣に座らなければ良い
後部座席があるのだから
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