breath
私はカバンをデスクの引きだしに入れ慌ててコーヒーを入れに行く
いつもと変わらない日常なのに社長と一緒に出勤しなかった事が胸にひっかかる
部屋に戻りコーヒーを出しながら
「今からスケジュールの確認を行いますか?」
普段は車の中で行っていたことをしようと声をかけると社長は
「さっきパソコンで確認したからもういい」
と断られる
社長に今日の仕事の指示を受け部屋を後にする
プライベートの事は一切話さず用件のみ
忙しいのはわかっていたけど少しは聞きたい事があった
聞ける隙も与えてもらえない
正直、辛く思う。でも仕事は仕事
両手で両頬をパンパンと叩き気分を切り替える
今は仕事中
いつまでもプライベートを引きずってはいけない
それから社長の指示された資料を作成
昼前に足りない資料があったので、資料室に向かおうとエレベーターに乗り込む
社長室は最上階なので2階にある資料室に降りるのですがちょうど昼時。食堂に行く女子社員にちらほら遭遇
狭いエレベーターの中でヒソヒソ声が私の耳に入る
たぶん私の事を言っているのはわかっているけど、平常心を保ち聞かないふり
2階で私が降りる時、大きな声で「高宮課長に色目使うな」って吐き捨てるように言われた
私が振り返るとすぐ、扉が閉まる
総務に鍵を借りに行った時も私の方を見てヒソヒソ声で何かを話す女子社員
気が重い
私はモヤモヤしながら資料を探す
社長室に戻ると誰もいない空間でヒソヒソ声も聞こえない
噂は広まっている
樹さんは現社長のご子息
注目を浴びて当たり前か
その日の社長は外出をしていたので、定時までには戻って来なく話をする事ができなかった
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