breath
17
忙しい社長に有給休暇を申し出る事ができず貯まっていた有給休暇
社長が不在で急ぐ仕事もないので今取らせてもらえるのは有り難い
でも、定も無く精神的にも肉体的にも疲労していた私はベッドから起き上がる事もできずひたすら眠る
食欲も無く2リットルのミネラルウォーターのペットボトルをベッドの傍らに置き何とか水分だけは取っている
堕落しているとは思うけど本当にやる気が起こらない
4日後には社長と樹さんが帰ってくる
それまでに今まで起こった嫌がらせで受けた心のダメージを払拭したいと思っていた


4日後
鍵を開ける音が遠くから聞こえる
夢の中と現実がわからないくらい眠っている
苦しみから逃げるように

2日前に届いた郵便物を見た時私の中の押してはいけないスイッチが押されたような気がした
私の中に眠っていた爆弾が爆発するスイッチを

「明日美。大丈夫か?」
聞いたことがある大きな声が耳元から聞こえる
そして身体を強く揺さぶられているのでうっすら瞼を開けると樹さんの顔が見えた
「お帰りになったんですね」
自分なりに力をふりしきって笑って見せたけど私の目に映るのは強張った樹さんの顔
一体、何があったのだろう?
私はここ数日眠れなくなっていて起きていたら不安感が込み上げて来て涙が止まらないので、仕方なく睡眠薬を飲んで眠っていただけなのに
樹さんは私を抱き上げ、強く身体を抱きしめ
「よかった生きていて」
泣きながら私の耳元で小さな声で樹さんは呟く
私は言い訳する事もできず樹さんになすがままに抱きしめられていた
睡眠薬をビールで流し込んだので、まだ睡眠薬の効果が残っていて頭がボッ―としている
それから、しばらくの時間樹さんに抱きしめられ胸の鼓動を聞いている
いつもより早く波打っている音を
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