Vanilla

朝永さんにキスの意味を聞けず仕舞いだった。

私は結局、あのキスは何？演技だよね？と悶々としたまま。


「あ、」

オフィスに戻った私は自分の隣の席に座る杉森さんを見つけて思い出す。

朝永さんに振り回されてスッカリ忘れていたが、私さっき杉森さんに告白されていたんだよね。
激しく気まずい。

でもどんな状況だろうが、仕事から逃げられるはずもなく。

私は静かに向かい、そのまま自席に座った。
椅子を引いた時、杉森さんの肩がピクッと動いたから私が戻ってきたのには気付いたようだが、私は彼には向かずに座った。


「小嶋さん、さっき言ったこと、本気ですから」


突然飛んできた言葉に杉森さんへと振り向く。