Vanilla
私の事なのに、自分の事のように鼻息を荒くさせている愛佳ちゃん。
女子はどうして他人の話でもこんなにも大興奮で盛り上がれるのだろうか。
ある意味尊敬。

「絶対あれはつぐみの事が好きだからだよ!」

「え」

そんな愛佳ちゃんが更に鼻息を荒くさせてから飛び出させた有り得ない一言に私は目が点に。

「……いや……有り得ない」

その顔のまま思わずポツリ。

「どうして!?絶対好きだって!」

昨日の理不尽さを知ったら、愛佳ちゃんも流石にそうとは言えないと思うのだけれど……。

「……愛佳ちゃん、先帰って?」

「え?何で?」

「本当に朝永さんが私を待っているか見てきて?」

「でも鍵貰ったんだから朝永さん家に行くんでしょ?」

そうだった。
私はあの家に帰るのだった。

朝永さんが本当に待っていようがいまいが、抵抗したところで無意味な事に今更気付いたバカな私。
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