Vanilla
それに、ついてこいって?

何処に……?


「オイ、聞いてんのか?全部荷物を纏めろ。早くしろ」

ソファーに正座したまま動かず戸惑っている私に、朝永さんからは鋭い目つきと高圧的な口調が飛んできた。
私は飛び上がるほど大きく一驚。

この人、やっぱり怖い!


「わ、分かりましたっ!」

怖くて私は反射的に了解して返してしまった。
すると目の前の朝永さんが私に背中を向けると歩き出す。
早くしろということだろう。
とりあえず私はもう此所には居られないのは確定だ。
だってここでごねたら絶対クビだ。

立ち上がり、自分のデスクに行こうとしたらパッと辺りが明るくなった。
朝永さんが点けたようだ。
電気のスイッチの場所へと顔を向けると、早くしろと催促しているような瞳と目があって、私は走って鞄を取りに行く。
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