秘/恋
……ごお……



学校という代物は、いくつもの【檻】で囲まれている。

無駄に高く立てられた金網。

授業中は閉められてしまう校門。

なによりも、時間割に区切られた時間の檻。

ケージのなかのハムスターみたいに、学生は囲われて、ぐるぐる車輪を回すよう仕向けられているって思うのは、あたしの性格が悪いからだろうか。

別に、そんな学生生活が嫌いなワケじゃない。

ただ、そんなものだなって思う。

それだけだ。


でもいま、あたしはその区切られた時間に、心底感謝していた。

ちゃんと制限時間が用意されていることが、目の前の彼女とのひとときの、救い……もどき。



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