先輩、気付いて下さい。
「……っはは。さすが。
 変なとこ素直なんだよな、ほんとに。」


さっきとは違う綺麗な笑顔だった。


「結衣、最後だから
 抱きしめさせて?」


私は断ってはいけない気がして
黙ったまま頷いた。


『いいよ』の意味で受け取った涼太先輩が
近づいてきて
これでもかって位強く抱きしめられた。



「俺は、素直じゃなくて
 雄哉に一途な結衣ちゃんを好きになった。
 ここまで付きあわせてごめんね。
 また友達としてよろしく。」

私を抱きしめていた腕の力を緩め
離れながらそう言った。


こうして私たちは
元の関係に戻り
片想いを再開した。
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