once again
「どこに行く気なんですか?」

「ん?俺の家、って言いたいけど、涼香の家に送るだけだよ。車の中ぐらいまったりしたいじゃないか」

専務…

「専務」

「蓮、って言ったよね?」

「あ、れ、蓮さん。あの、今日室長の様子がいつもと違ってたんですけど」

「匠か?いつも、とは?」

「せ、蓮さんとの事疑われたのは、いつもの事なんですけど、なんだか苛立ってたみたいで…もしかして、お見合いの話もめてますか?そうだとしたら、私…」

蓮さんが、運転しながら空いた手で私の手を握った。

「それはないよ、まだそんな話にはなってないから」

「え?そんな話にはって?」

私は蓮さんの顔を見た。
まだ話してないって事…
不安になる私を蓮さんは、手を強く握った。

「そうじゃないよ。話はしたよ、あの日の君じゃないね?って。で、話は白紙にしてもらうよ、って夏帆さんには伝えたよ。それを君の父親に言ってもいいと、ただ…」

そこまで話をして、蓮さんは少し考えていた。

「…やっぱり、俺の部屋で話をしてもいいか?ちゃんと説明するよ」

「え?は、はい」

そう言うと、行き先を変更して蓮さんの家に向かった。

「さ、入って」

今日、朝来た時とは違う空気。
二回目の訪問だった。

蓮さんは、寛いでてと上着を脱ぐとコーヒーを入れてくれた。

「どこまで話したっけ。あ、話したとこまでだね。夏帆さんには話をした、君から断ってくれ、と。自分には合わないと。もし、会社絡みでしかけてくるならこっちにも考えはある、って。一応、俺もバカじゃないからね。そっちの手を打ってあるよ。匠だけが、俺の情報源じゃないから」

「そ、そうなの?本当に大丈夫なんですか?私、会社を巻き込むんだったら…」

蓮さんがそう言ってくれていても、不安だった。
夏帆さんが、鏑木物産が会社ぐるみで仕掛けてきたら、如月商事は安心していられないことぐらい…

「大丈夫だよ、涼香。鏑木物産が手を出してくる事はない」

「…っ……」

また涙が頬を伝っていた。
その涙を優しく蓮さんが拭き取ってくれた。

「大丈夫だよ」

蓮さんが力強く抱きしめてくれた。
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