once again
「電話で言う事じゃないけど、面と向かってだと恥ずかしいから、今言うね。涼香には、申し訳なかったなって思ってるの。
私は好きでモデルやってたけど、双子だからっていつも同じ目線で見られてさ。最初は、涼香もカメラ向けられて笑顔見せてたじゃない?小さい頃は。
でもいつの間にか、笑わなくなったよね。それって私のせいだよね、きっと。私は好きな事してたけど、私のせいで笑えなくなった涼香の事、気が付いてないフリしてた。同じ顔して笑えばいいじゃん?って思ってたから。
でも、いつも私と比べられて涼香が笑えなくなって、殻に閉じこもるようになってた事に気付かないフリしてたんだよ。ひどい姉だよね。
でもさ、私も涼香に対してコンプレックスはあったんだよ?今だから言うけど」

「…え、な、何?瑠璃はそんなの…」

「涼香、私達双子だよ。同じ顔してるの。だから、私がモデルで成功しても、周りからチヤホヤされても、涼香だってやれば出来る話なんだよ。
でもね、涼香が持ってる才能って私にはないから。お父さんに後継者だって、SEIWADO継げるのは、涼香だって聞かされた時は正直辛かったな。
あぁ、同じ女で同じ顔してるのに、私じゃないんだな、って思った。会社を任せられる程の能力を涼香は持ってるんだぁ、って羨ましかったよ。ま、私は勉強嫌いだからね…フフフ。
お父さんにしたら、当たり前なんだろうけど。私ももっと自分に厳しく勉強すればよかったな、って思ったもんよ。今さらだけどね」

「瑠璃…、私は瑠璃みたいに笑えないし、自分をよく見せるなんて…だから、頑張れるのは勉強だって…」

「ほら、そこら辺が私と一緒なのよ。私も勉強出来ないしって言ってるでしょ?」
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