恋・愛至上命令。
メテオは、アキラさんと知り合って連れてってもらったバーで。すごく美形のバーテンダーもいて彼はよく、そこを待ち合わせ場所にする。

「・・・分かりました。今から行きます。時間がちょっと分からないけど、いいですか?」

『いいよ、ゆっくりおいで。待つのも楽しいから』

あんなモデルみたいなカッコイイ人に言われて、ちょっと舞い上がりたくなるような。

通話を切りながら、凪を見ずにわたしは少し早口で言った。

「悪いけど仲町のメテオまで送って」

「・・・・・・承知しました」

抑揚もない声には。どんな感情が押し込まれてるのかさえ。



それからわたしと凪は一言も話すことなく。
近くのパーキングに車を停めて、飲食店が連なる繁華街の一画にある雑居ビルまで、凪は無言のまま付いてきた。
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