君を借りてもいいですか?
「とりあえず、野菜全般に言えることだけど嫌いなものは見るのも嫌だと思います。なので今日は
 ニンジンだとわからないようにします」

「え?」

拍子抜けする湊人。

「ニンジンゴロゴロのスープとか千切りのマリネでもすると思いました?」

ニンジンの皮をピーラーで剥きながら尋ねる。

「そうかな〜って本気で思った」

私はニンジンを見ながら「そこまで意地悪しません」というと皮をむき終えたニンジンを湊人に差し出した。

「これをすりおろしてください」

「すりおろす?」

「最初のステップは、え?ニンジン入ってたの?」

私は図書館から野菜ぎらいの子供にも美味しく食べてもらうための料理本を湊人に見せた。

でもそのタイトルを見て湊人の顔が引きつった。

「これって子供向けの本?」

「バカにしちゃダメですよ。うちの図書館でもすごく人気のある本なんですから」

湊人は少し不満げにニンジンをすりおろした。

そして買ったニンジンに半分をすりおろし、残りの半分を私がみじん切りにした。


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