君を借りてもいいですか?
「どうしたの?」
「ん?なんか……びっくりして」
他にも言いたいことはたくさんあったが、言葉を飲み込んだ。

「まあね〜。でも読者の年齢層や感想、アンケートなんか見るとすごく人気もあるし、紹介したお店の問い合わせも多いみたい。だから次号も期待してるって……これは編集長からの伝言ね。もちろん原稿料とまではいかないけどお礼はお支払いするから安心して」

え?私のネタにお金が発生するの?

「ちょ、ちょっと待って。私そういうつもりでいたわけじゃないからいらないよ」

亜矢はかなり驚いた様子で私をみた。

だが驚くのは私の方だ。

ただでさえ反響の大きさに罪悪感を感じているのにそこにお金が発生って……なんだか情報を売っているみたいですごく嫌だ。

確かに偽物ってことに嘘はない。私たちはほんものなんかじゃない。

だけど、嘘じゃない部分もある。

「……ねえ、まさか彼のこと好きになったとか?」

「え?な、何言ってんの?好きなわけないじゃない」

否定するも亜矢は信じているような目で見ていない。

でもなんで私が?
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