君を借りてもいいですか？

アパートに帰ると男性からいただいた紙袋から結婚式の引き出物を出した。

カタログギフト、引き菓子はバウムクーヘンそして

「なにこれ…」

最後に出てきたのはなんと木製ハンガー。しかもそこには新郎新婦の名が刻まれていた。

グラスとか皿よりはいいけど…ここまでして名前を入れたいのか？と思ってしまった。

実際こういうものを見ては自身の結婚願望が沸かなくなるのも事実で、もしかしたらさっきの男性も私と同じ考えなのでは？と思いながらハンガーをまじまじと見た。

しかしかっこよかったな〜。遠くからでならいつまででも見ていたいって感じだった。

でもあの顔で私が見られるって言うのは…う〜〜ん恥ずかしい。

やっぱりあの手のイケメンは観賞用だ。

と言っても二度と会うことはないだろう。

そもそも名前も聞かなければ、聞かれもしなかったし……

私は紙袋を片付けようと一度中身を確認した。すると名刺サイズの紙を見つける。

取り出すとそこには「白石湊人」と名前が書いてあった。おそらく席札だ。

ってことはあの男性の名前だ。

しばらく席札を見ていたが、二度と会うことなない人だろうし…と私はゴミ箱目がけて席札投げた。

席札は見事ゴミ箱に入った。