君を借りてもいいですか?
「香代おめでとう!」

純白のウェディングドレス姿の香代はとても美しかった。

「みんなありがとう」

今にも泣き出しそうな香代を見て恵梨香が「泣くのは早いよ!」と言いながら しんみりさせないためなのか自分の育児の話をしだす。

「とにかく夜中の授乳がきついのよ!昼間もあまり寝てくれないし、夜も寝てくれなくて育児を甘く見ていた」

育児の先輩である圭子も恵梨香の言ってることがよくわかっているようでなんども頷く。

そして最終的には「育児は体力を使うから早めに子育てするほうが楽だよ」と香代にアドバイス。

香代も、できれば30歳までには子供が欲しいと言っている。

気がつけば私を除く3人で話が盛り上り、私は話について行けず適当に頷くしかなかった。

だが、突然3人の視線が私に向けられる。

「な、何?」

「何じゃないわよ。前にも話したけど栞も早いとこいい人見つけないと!それに結婚したからって絶対に子供が授かるとも限らないのよ」

心配してくれる気持ちはありがたいが、そういう気持ちにならないのだから仕方がない。

だけど反論したところで3対1じゃとても勝てないし、めでたい日にゴタゴタは避けたい。

仕方がないから適当にかわす。
恵梨香たちは何か言いたげな表情だったが、タイミングよくチャペルへの移動を促され、なんとか回避できた。
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