君を借りてもいいですか?
式は滞りなく執り行なわれた。

びっくりしたのはやはり新郎。5歳年下と聞いていたがなんという可愛いお顔。

かっこいいというよりもはやアイドルだ。

白いタキシード姿はまるで白馬の王子様?と思うほどできっとかなりモテモテだったのだろう。

「香代の旦那さんアイドルみたい」

恵梨香が目をキラキラさせながら呟いた。

「前に写真を見せてもらったけど実物の方が断然いい。あんなイケメン久しぶりに見たわ」

圭子なんて香代の方なんて全く見ていないという感じだ。

イケメンといえば私も半年以上前にすごいイケメンから引き出物をもらったっけ。

あの時あと2回式に出ないといけないとか言ってたけど…どうしてるかな?

そんなことを思いながら誓いのキスをする二人を見ていた。

式が終わりブーケトスになるとお節介な2人がわたしに前に行け行けとしつこくて仕方なく前の方に立った。

もちろん受け取る気などさらさらない。だから万が一わたしの方に飛んできたらさっとしゃがむなりしてキャッチしなければいい。そんなことを思いながらブーケトスを待った。

だが神様は意地悪だ。

必要のない私の方にブーケが飛んできたのだ。

やばいくる!と思ってしゃがんだら手ではなく膝の上でキャッチしてしまった。

いらないのになんで受け取っちゃうの?

「栞やったじゃん。こうなったら私がいい男を紹介するよ」

私の意に反し圭子も恵梨香もハイテンションだ。

紹介までして彼氏が欲しいとは思わないし、私は読書している時が一番幸せなのに…と思いながらも本当のことは言えずキャッチしたブーケを持って苦笑いするしかなかった。
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