君を借りてもいいですか?
やっぱり顔に出てたのかと思ったら嫌な汗が出そうになり、手で顔を仰いだ。

「あの。隣座っていいですか?」

白石さんは私の返事も聞かずに隣に座った。

「俺も織田さんと同感です。初めて会った時も言いましたが結婚式とか嫌いです」

確かにそうだろう。白石さんは引き出物を私にくれちゃうぐらいなのだから…

「同感です。私も自分に結婚願望が全くないから楽しめないんですよね」

「俺も結婚願望はゼロ。できれば一生独身でもいいと思ってる」

え?まさかここに私と同じ考えの人がいるなんて思ってもいなかったからびっくりして白石さんをガン見してしまった。

「どうしました?驚いた顔をして…やっぱり変ですかね?一生独身がいいなんて」

「ち、違います。私も同じ考えなので同志がいた!みたいな感覚です」

すると白石さんがニコッと笑った。

「え?織田さんも?なんか嬉しいな〜」

結婚式の真っ只中でする会話ではないが、まさかこんなことで意気投合するとは思ってもいなかった。

結局、私と白石さんは新郎新婦退場のちょっと前まで話し込んでしまった。
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