君を借りてもいいですか？
着いたのはなぜか湊人のマンション。

ここに来るのは２回目になる。一体なんなの？

結局、何も教えてもらえぬままドアの前まで来た。

すると湊人が意を決したように小さく息を吐き、
「今から開けるけど驚かないでね」と言った。

驚く？それは何かすごいのがいるとか、すごいものが置いてあるとか？またしても中途半端な言い方に妄想を膨らませる。

「はい」

私の返事を聞いた湊人が鍵を開けた。

「どうぞ」

なんだかいつもより小さく感じる湊人。とにかく中に入ろう。

「お邪魔します」

靴を脱いでリビングの入り口で足が止まった。

それは初めてここに来た時と全く違う光景だった。

「どうしたの？泥棒にでも入られたの？」

「そう思うよね」

湊人が額に手を当てた。

脱ぎ散らかした服が無造作に置かれたソファ、ダイニングテーブルの上には空になったコンビニ弁当や空き缶、ペットボトル。

イケメン御曹司のイメージがガタガタと崩れ落ちるようだ。
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