突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
テーブルの上に所狭しと並んだサラダやパスタやピッツァやらを、取り分けて食べる。
だけど、真生ちゃんなど仲のよい間柄ならいざ知らず、仕事でたまに会うだけの(しかも来館する目的は業務状態の監視とチェックだ)相手となんて食が進むはずもない。
「……井筒さんって、案外少食なんですね」
などと、原さんはすっとぼけたことを言っている。
少食どころか、食べることは大好きだ。
料理にだって興味がある。
例えば、このベビーリーフと和えられているバルサミコ酢の効いたソースがほんのりと甘いのだが、砂糖ではなさそうだ。
味醂かもしれないが、とろみがあるからハチミツかもしれない……というふうに。
そして、とうとう、原さんが「提案」の内容について口を開いた。
「……井筒さん、僕とおつき合いしてくれませんか?……もちろん、結婚を前提として」