突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
暗闇の中で、原さんのウェリントンの眼鏡のレンズがぎらっ、と光った。
寒気を帯びた恐怖が足元から、ぞぞわっと、上がってくる気がした。
だけど、大きな声を出せばきっと、隣の山田のおばちゃんが「何事か⁉︎」と飛び出てくるはずだ。
「井筒さん、結婚したって言ってましたが……」
……なのに、喉が強張って、声が出ない。
「あの人と……離婚してくれませんか?」
……はい?
わたしは呆気にとられて、思わず間の抜けた顔になる。