突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
Book 3
「あぁ、苦情」
月に一度の、図書の貸出状況の確認の手伝いをするため、この日のわたしと真生ちゃんは本館での業務だ。
この日は本館の休館日であるが、職員は必ずしも休んでいるわけではない。利用者のいないこういう日に、貸出のデータと蔵書をチェックするのだ。
この区の図書館では、昔は一年に一回だったのが、最近は残念ながら返却されない図書が増えてきて、半年に一回が三ヶ月に一回となり、今では一ヶ月に一回となった。
さらに、せっかく返却されていたとしても、その図書が哀しいことに落書きされていたり、破られてページが飛んでいたりする。
落書きは消しゴムで消せるものはいいが、そうではない場合、修正液で消したりするが、どうしようもないものや、落丁しているものは、ほかの図書館から同じ本を取り寄せてコピーを取って「修復」しなければならない。
ブックカバー作業といって、新刊図書をニチバン カバーフィルムでコーティングするのは楽しいけれど(まったく気泡が入ることなく貼り付けられたときには小さくガッツポーズする)、不要な「修復」作業は本好きとしてはメンタルがやられる。
わたしと真生ちゃんはローテーションして、週休二日の休みを取っている。
お互いの公休日には本館から一人、応援が来る。
応援の子はいつも「別館はヒマ過ぎて極楽ですね〜」となごなごしていた。
だから、逆にわたしたちが本館へ応援に行くときは、地獄とまでは言わないが、かなりこき使われてるなぁと思わざるを得ない。書架への図書の持ち運びの量が半端なく多いし。
……そうだったぁ、司書の仕事って「体力勝負の重労働」だったわぁ。
と、思い知らされる一日だ。
とはいえ、その日は着いたときから、確かにいつもと違う「雰囲気」だった。
なんだか、本館の職員たちから、じろじろ見られてるような気がした。