きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

「……シンちゃん、それは、ずるいよ」

わたしはシンちゃんの目をまっすぐに見つめながら言った。

「両方とも手にして、うまくやっていこうなんて……絶対に無理だよ」

しあわせそうな奥さんや子どもを欺いて、愛人を手にするなんて。

そんなの、あおいさんも、わたしも、

……両方とも不幸になる。

シンちゃんの瞳には、途方に暮れたような影が差していた。


しかし、次の瞬間、打って変わって、その瞳につよい光が宿った。

「……だったら」

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