きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

「……ダメだよ、シンちゃんっ!」

わたしは必死で取りすがった。

「シンちゃんが会社を継がなければ、シンちゃんのおうちはどうなるの?
シンちゃんの会社の人たちはどうなるの?
……それに、おうちの人たちや会社の人たちを放り出して、それでもシンちゃんは平気なの?」

あんなにぎゅーっと抱きしめて「高い高い」してかわいがっていた、

……あの赤ちゃんまでも、放り出せるの!?

シンちゃんは苦しそうに眉を寄せた。

「……じゃあ、おれはどうすればいいんだ」

そして、わたしを引き寄せて、思いっきり抱きしめた。


「 櫻子がいいんだ。
櫻子じゃなきゃ、絶対に、ダメなんだ……」

< 210 / 272 >

この作品をシェア

pagetop