きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
シンちゃんは、がばっ、とわたしから身を離した。
「なんで、あおいのことを知ってるんだ?」
目をめいっぱい見開いて驚いていた。
「お願い、シンちゃん。あおいさんのことを考えて……大切にしてあげて」
わたしは心が切り刻まれる思いを押し殺して懇願した。
「なんで、おれが櫻子を差し置いて、あんなヤツを大切にしないといけないんだ?」
シンちゃんは吐き捨てるように言った。
……「あんなヤツ」だなんて、ひどい。
いくら政略結婚かもしれないとはいえ、子どもまでもうけた奥さんなんだよ?
わたしはシンちゃんがそんな薄情な人だったのか、とショックのあまり青ざめた。
「……櫻子?」
急に押し黙ってしまったわたしを探るように覗き込んだシンちゃんは、ふと怪訝な顔をした。
そして、おもむろに口を開いた。