きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
「まぁ、僕がなかなか実家のことを言い出せなかったのが、すべての元凶なんだけど」
そして、ふと思い出したかのように、シンちゃんが尋ねてきた。
「ところで……櫻子はどうやって、うちのことを知ったの?」
わたしは、今日シンちゃんが出かけたあとに、また原さんがやってきたことを話した。
「……あの野郎……性懲りもなく……」
シンちゃんは今までに見たこともないくらいの鬼の形相になった。
「それに、あることないこと、櫻子に吹き込みやがって……」
言葉遣いも、いつもの穏やかでやわらかなシンちゃんにはありえないほど荒々しい。
「ねぇ、シンちゃん……
原さんから見せられたスマホの『女の人』と『赤ちゃん』なんだけど……」
わたしが「あおいさん」だと勘違いしていた女性とその赤ちゃんはもしかして……
「……青井さんの奥さんと子どもさんなの?」