きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

……そりゃあ、彼の話を鵜呑みにして、ろくに確かめなかったわたしもいけないけれど。

とうとうわたしは、どさり、とソファに崩れた。
身体(からだ)中の力が完全に抜けてしまった。

「櫻子っ、大丈夫っ?」

シンちゃんがあわててわたしを抱き上げる。

「もしかして……悪阻(つわり)かな?弟の奥さんも急に気分悪くなって、それで(わか)ったから」

……そっ、そんなわけ、ないでしょう!?
あなたと初めてエッチしたのは、昨夜なのよ⁉︎
もう妊娠がわかるくらいだったら……だれの子よっ⁉︎

「櫻子、もし悪阻じゃなかったとしても、僕も歳だからさ……なるべく早く子どもつくろうね」

シンちゃんはぎゅーっと抱きしめながら、わたしの耳元で、あまーく(ささや)いた。

「櫻子と僕の子どもだったら、きっとものすごーく、かわいいだろうなぁ……」

甥っ子にさえ、あの溺愛ぶりである。
早く自分の子どもがほしい気持ちも、わからなくないけれど……

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