今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。





「ここか?」

「あ、今、安月給の割に良いところに住んでるなって思ったでしょう?」


暗い車内の中、運転席でハンドルを握る水瀬さんの方に視線をやると、彼は「いや……」と呟きながらフロントガラスの向こうにあるレンガ造りのマンションを見上げた。

低い車体の屋根から覗くようにしているため顔は上向きで、ボコッと浮き出た喉仏に思わず見惚れる。


「友達と住んでいるんです」

「ルームシェアか」

「女ばっかり3人で楽しくやってますよ」


へぇぇ、またも呟くような返事。

そんな水瀬さんとずっと一緒にいたいけど、長居しても悪いからシートベルトを外して外に出た。途端、冷たい風に吹かれて身体がぶるっと震える。

運転席側にまわり、お礼を言おうとしたところで、


「あら、紗夜?」


と、後ろから声を掛けられた。

振り返って、ぎょっとする。なぜなら……。


「今日は随分遅かったのね、誰かに送ってもらったの?」

「昌也……」

「会社の方? それなら挨拶しなくちゃね」

「え、いいよ。そんな」


保護者じゃあるまいし。

ていうかね、ていうかね、どうして今に限ってそんな恰好しているの!?

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