今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
どうして、私はこんなにバタバタしているのだろう。
まだ帰りたくないと駄々をこね始めた杉山課長をタクシーに押し込んで、運転手さんに送り場所を告げる。それから課長の奥様に電話を入れて、一息ついた頃には酔いもすっかり覚めていた。
もともと、そんなに飲んでないけど。
外の冷たい空気を吸うと、疲れがどっと押し寄せてくる。
ちょっと休憩してから戻ろうかな。
そう思い、店の横手の方に向かうと、ベンチで煙草を吸っている水瀬さんの姿が見えた。
あんなに飲んでいたのに、まったく酔っていないのか、いつもと同じような表情で、いつもより少し砕けた座り方で、いつもより憂いを増した瞳で月を見上げている。
その姿が、私には儚げで寂しそうに見え、胸がギュッと疼いた。
「疲れましたか」
「……高木? いや、お前の方こそ疲れただろ」
「私は全然ですよ!」
「嘘つけ、1人忙しそうにしていて、見てるこっちがしんどくなるほどだ」