今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
せっかく歓迎会をセッティングしたのに、あんまり話せなかったから。
なんて言ったら、水瀬さんはどんな顔をするだろう?
困った顔? 迷惑そうな顔? 呆れた顔?
水瀬さん、私ね、あなたのことが知りたい。私のことも知って欲しい。
あの日のことを覚えていないなら、それでいいから、せめて今から私のことを見てよ。
「高木」
掴んでいた手を、そっと離される。
――拒絶か、やっぱりスタートラインにすら立たせてもらえない。
見上げた水瀬さんはやっぱり困った顔。
ではなく、なぜか不敵の笑みを浮かべていた。
「ウイスキーをロックで飲む女は可愛くない」
「……え?」
「連絡先を聞かずに帰るのも、ばかだろ」
「え、え、あの」
それって、つまり、つまり、まさか、ええ?
混乱する私を楽しむように見ていた水瀬さんは、「じゃぁな」と軽く手を挙げて、大通りの方へと歩いて行った。
遠ざかっていく背中を唖然と眺め、そこでやっと合点が行く。
覚えていたんだ!
覚えてて忘れたフリをしていたんだ!
くっそーこうなったら絶対振り向かせてやる!