今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。


ビジネスマンらしく真っすぐに伸びた背中を追いながら、思う。

私はこの2日間、何をしていたのだろう。あと半日で何ができるだろう。水瀬さんのことはもはや好きって気持ちだけじゃなく尊敬している。憧れている。

色々目にかけて貰ってフォローして貰って、心配だって掛けたのに、それを返すべくものは何もなくて。

せめて成長という形で返すことができたら、いいのに。

あぁ、でもくよくするのは良くない。

ラスト1日、できることをしていこう。



「今日はやけに張り切っているな」

「ラストですから、太田さんに負けず劣らす使える部下だってことをアピールしようかと」

「えっ、俺、ライバル扱いされてるんっすか」

「それなら、すでに太田くんより使えるわよ、紗夜ちゃんは。なんせ向上心が違うもの」

「えー!」


オーバーリアクションで嘆く太田さんに、彩さん、私、黒縁眼鏡美女の松波さん、それから水瀬さんも小さく笑う。

東京ではチーム力より個人の能力を優先されがちだけど、ここ大阪では同僚たちがコミュニケーションを取りながら、それぞれの仕事を支えている。

そういうところを見習って、我が部にも持ち帰りたい。



資料を参考にしながら企画書をまとめていたところ、トントン、と長い指がパソコンの画面を叩いた。



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