マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
ボールを持って振りかぶるその動作は、先ほど暴投した時とは動きが違う。
まるで、リセットされたかのようにキレが少しばかり戻っていた。
その放った球を、体の一際デカいバッターがスイングする。
カンと音を鳴らして高く打ちあがった。
ホームラン…?
…と、思いきや、あまり飛距離がない。
詰まった感じで高く打ち上がるその打球は、蓑島くんのいるセンター方向へと向かっていく。
蓑島くんの真上にそのボールはゆっくりと落下していく。
センターフライ!
「よし!ツーアウト!」
「…まだよ!」
サードランナーが、塁に戻る。
打球の行方を見守りながら、体勢を低くしていた。
ひょっとして、タッチアップ?!
タッチアップとは、ノーアウトもしくはワンアウトで、味方の打ち上げた球を相手が捕球した時にランナーが次の塁を狙うことができる…と、商店街の野球好きのおじさんから延々と聞かされたことがある。
相手が捕球した瞬間にタッチアップが可能となり、走ることが出来るから…蓑島くんが球を捕ったら、ランナーは走り出し、ホームを狙う。
私、案外野球知ってるね…。