マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



…その意味を、部活の最中にもふと考えてしまう。



『特別』…その意味を。



グランドでパス練をしている部員を何となく眺めながら、ボーッと考えてしまう。



(たった一人の愛しい人、か…)



蓑島くんの意味のわからない『特別』より。

誰かの一番愛しい人。

…その方が、断然いい。

だなんてね。




でも、これって、全人類女子共通の願いじゃない?



いつか、誰かの一番になりたい。

いつか、誰かのたった一人の愛しい人になりたい。

王子様のお姫様のように。

愛しい、愛してるって言われてみたい。

愛されてみたい…なんて。



(………)



…いや、ようするに。



蓑島くんの意味のわからない謎だらけの『特別』は、大いに困る。

本当に、ホラーみたいで恐い。

そう言いたいワケです。




『偽物』彼氏としてでも、デートしたり、試合の応援行ったり、お家に招待してもらったり。

顔を近付けられてはドキドキしたり、抱き寄せられたり、抱き締められたり。

指や頬にキスされたり。

たくさんときめいては、ドキドキさせられて。



…でも、それは。

『偽物』だったら、ダメなんだ。



『本物』を味わいたい…。



だから、ここで独りになろうが、淋しかろうが。

蓑島くんとは終わりにしないと。



でないと、前に進めない。







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