王子様とブーランジェール




「ナツキくん、まずはこの動画を見ていただけますか」



菜月が、俺の前に出て来てノートパソコンを開いて見せる。

キーボードを2、3回押して、動画が再生された。



これは…正面玄関口だ。

カメラが動いてないのと、視線が上から見下ろすアングル。

これ、監視カメラの映像か?お得意の。



…俺がカメラの視界に入ってきた。

そこらでうろうろしている。



そして、そんな俺の後ろから女性が登場した。

俺に話しかけている。



これ…昨日のヤツ?

あの超美人?

…小便器、ピカピカですねって話しかけられた時だ。



「…この御方とどういう関係ですか?」

「え…」



どういう関係って…。

返答に困っていると、狭山が傍で捲し立ててくる。



「おまえ、この御方と知り合いなのか?!なぜ、この御方は、この時間にここにいたんだ!」

「…は?なぜ?って、何で?」

「いいから質問に答えろ!」

「いや…ただ、そこで話しかけられただけ…」

「あぁ?!何だと?!」



動画に目をやると、糸田先生が登場した。

超美人が糸田先生に抱きついている。


「…ああっ!糸田に抱きついてる!…やめてぇー!汚れる!」


美梨也がうめきだした。

隣で奈緒美が「美梨也、しっかりしろ!」と、背中を叩いている。

何なの、あんたたち。

なぜうめく必要ある?

何の芝居?何の劇団?

糸田先生がまるで汚物扱いだ。



この超美人、何者なんだ?



「夏輝、何ですぐに教えてくれないのさ!この御方が前夜祭に来てたって!」

潤さんだ。ムッとした表情で俺に詰め寄ってくる。

「な、何でって…いや、知らないし」

んなこと知るか!おまえらとこのガチバカ超美人との関係も知らないってのに!

「し、知らないぃっ?!この御方は超VIP級の来賓に値する人なんだからね!何のおもてなしも出来ずに、私達の顔に泥を塗る気?!」

加えて奈緒美も詰め寄ってくる。

え?え?VIP?

泥を塗る…国賓ですか?!

「竜堂、これは重罪だぞ!死刑レベルだぞバカめ!」

「は、はぁ?死刑?」

何だ何だ。

「俺も話したかったのに!竜堂、おまえだけずるいぞ!」

美作さん、どさくさ紛れに一緒になって詰め寄ってこないで。

このギャルの中にただ一人モブヤロー、違和感でしかない。



その時、この後に糸田先生に言われたことを思い出した。



『いいか?決してアイツがここにいたことは、誰にも言うな。わかったか?聞かれてもテキトーにはぐらかしとけ。いいな?』



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